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今日はさなえちゃんと一緒にお出かけしました。外は雨が降っていたけれど、さなえちゃんは私のお部屋の中から違う場所に連れていってくれたのです。そこはとてもきれいなお花畑でした。お空は紫色で、とてもきれいで、お花は赤と青と、黄色と、それから、もっとたくさんの色がありました。
水玉模様の鳥さんたちが、いっぱい、お空を飛んでいました。うさぎさんも、ちょうちょさんも、みんな水玉模様がついていて、仲良しで、とても楽しそうでした。さなえちゃんは楽しそうに笑っていました。それを見たら私も楽しくなって、笑顔になりました。
きれいなお花を見つけて、私の分とさなえちゃんの分、お花の飾りを作りました。さなえちゃんはとっても喜んでいました。さなえちゃんが帰っていったら、お花の飾りはなくなってしまったけれど、わたしの頭の中には楽しい思い出が残りました。それで、夜になってもつらいことを思い出さないままでいることができました。さなえちゃんが側にいない夜なのに、こんな幸せな気持ちを感じることができたのは初めてです。
明日も、明後日も、その次もずっと、さなえちゃんと一緒に遊びたいな……。
今日は心配なことがありました。ずっと泣かなかったさなえちゃんが、私とお話している時に突然床に座り込んで、泣き出してしまったのです。さなえちゃんは目からぼろぼろと大きな粒の涙を流していました。
私はさなえちゃんを、ぎゅう、と抱きしめて、頭をなでてあげました。もう怖くないよ、と言いました。そうしたら、さなえちゃんは、今までの明るい笑顔に戻ってくれました。さなえちゃんが元気になってくれて、私もすごくうれしかったです。
今日は大変なことが起こりました。私がさなえちゃんと遊んでいると、さなえちゃんは急におもらしをしてしまったのです。私よりずっときれいでしっかりしているさなえちゃんが、どうしてこんなことをしてしまったのか、私にはわかりませんでした。私はお掃除をして、それから、泣いているさなえちゃんの涙をふいてあげました。
今日のさなえちゃんは、他にもいつもより様子がおかしいところがありました。さなえちゃんの瞳の中に、星や水玉の模様がたくさん浮かんでいるような気がしました。それと、時々、さなえちゃんの言っている言葉がおかしくなっていたように聞こえました。でも、私にはさなえちゃんの言葉の意味がわかってお返事もできたし、浮かんでいた模様もきれいだったので、さなえちゃんが悪い病気になってしまっていたりすることは、ないと思います。
それと……さなえちゃんの背中に、もやもやした黒い羽のようなものが生えているのが見えました。羽が生えているところから、ときどき紫色の血が出てきて、そうなると痛くて痛くて泣いてしまうそうです。
さなえちゃんが帰った後、さなえちゃんの瞳の中に浮かんでいた模様と似ているものが、眠っている私の夢の中にたくさん現れました。それを見て、夢の中の私はふしぎな気持ちになっていました。でも悪い気持ちではないのです。むしろ、とても幸せでした。
さなえちゃんが、なんだか元気をなくしているようです。さなえちゃんは、ずっと泣いています。前のように、明るい笑顔を見せてくれることがなくなってしまいました。さなえちゃんは背中から紫色の血をたくさん流しています。羽が大きくなるたびに紫色の血が溢れてきて、とても痛くて苦しいのだそうです。
元気をなくしてしまったさなえちゃんの姿を見ていると、私も悲しくなります。やがて日が暮れて、さなえちゃんが帰ってしまうまで、私もさなえちゃんの側でずっと泣いていました。
夜。わたしはとてもいやなことを思い出してしまいました。いつも思いだしてしまう、ママのこととも違っていました。それは私が、本当に、一番……思いだしたくないことでした。
私が、ずっと昔……まだ、学校に行っていた時のことです。私は学校に残っていて、帰りが遅くなってしまった事があるのです。暗い夜道を歩いていました。誰かが私の後ろから近づいて、それで……その後のことは……もう……。
嫌……嫌だよ。そんなの……!嫌!助けて!助けて……!だれか……たすけて……!
もう三日も、さなえちゃんが来てくれていません。頭の中に黒いもやもやがいっぱい浮かんでいます。もう、いやです。私の脳から黒電波がいっぱい出てきています。黒電波は悪い電波です。私がつらいことを経験したり悲しい気持ちになると出てくるものです。
たくさん受信すると頭の中に少しずつオルゴールの音が聞こえてきて、受信する量が増えていくたびに音が大きくなって、周りがぼやけて見えるようになります。音と一緒に私の中にある悲しい気持ちも大きくなります。悲しくて涙が止まらないのです。
さなえちゃんは外の世界が見たいと言っていたような気がします。私はいなくなりたいです。さなえちゃんに私の体をあげて、自由に動けるようにしてあげて……それで、私は、どこかに消えてしまいたいです。さなえちゃんなら、こんな体でもみんなに愛されるようになってくれるのだと思います。
頭の中のもやもやが大きくなって、いっぱい分かれていって……。何かが、水玉模様が……私の周りに溢れてきて、ぐにゃぐにゃに形を変えています。
お部屋の天井から、ひらひら、ひらひら……何かが降ってきます。……これは、羽……?さなえちゃんの、黒い、羽……。どうして……?
お部屋の床に、目がいっぱいできたの。いつも私のことを見て、私に不思議な電波の言葉で話しかけるの。私は電波の言葉を話せないし、電波は私の言葉を理解してくれないけど、目は私にわかることだけ話してくれるの。
それに、色がね。聞こえるようになったの。虹色がね、どんどん変わって違うふうに聴こえていくの。音が見えて、お部屋の空気の味がわかるの。ほこりを食べちゃっても、黒電波の毒がないのは大丈夫だよ。この部屋が私の頭と心臓と、それから、それから、いろんなところから出てる黒電波を消してくれるの。
でもこんなに目がいっぱいあるのに、どうして私には二つしかないんだろう。前はもっといっぱいあった気がするの。誰かがわたしの目を取ってしまったの?
……返してよ。わたしの大事な目なのに。大事な目なのに。いっぱいあったんだよ。私がこんなふうになる前はもっといっぱい、もっと、もっとたくさん、お部屋にもお外にも、わたしの周りにもいっぱいあったのに。なくなっちゃったんだよ……。戻らないの。目が戻ってこないんだよ。
さなえちゃんなら、私の目がどこに行ったかわかるはずなのに。……あれ?さなえちゃんには、目がいくつあったんだっけ。どうしてなんだろう。あんなに仲良しのお友達だったのに。私のたった一人のお友達なのに。目がいくつあったか思い出せないよ。どんな顔?どんな声?手は、足はいくつ?
さなえちゃん……会いたいよ。どこに行っちゃったの?
(※続く)
個人的に絵柄などが好きで、一種の目標にしている人物の画風を意識する