
その金色に輝くコインは、それがいかにおぞましい手段を以て作られたモノかを知らぬ者にとって、女体を象った奇妙な形状のレリーフが刻まれたコインである、としか認識できなかった。このコインは元々、既存の国家において通貨として流通していたものでもなければ、何かの記念品として特別に作られたものでもなく、自らの好奇心と性欲を満たすためだけに女性を人知れず連れ去っては人体改造の犠牲とする恐るべき魔女が、ほんの戯れに作り出したものに過ぎなかった。しかし、時が経つにつれこのコインは特定の地域、特定の目的でのみ高い価値を持つようになる。
現代、某国。あらゆる女性=「マンコ」の人権が皆無に等しいこの国では、「マンコ」の性的利用価値を示す指標となる数値「マンコ・スコア」が用いられ、すべての「人間」に可視化されている。「マンコ・スコア」の数値が0を下回り「ゴミマンコ」として「廃棄処分」される「マンコ」の一部はこのような女体硬貨へと加工され、「人間」が他の「マンコ」を売買する際の専用通貨として用いられるようになったのである。