非エロ。内容的には焼き直し気味
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私は、小さい頃からずっと、いじめられ続けていた。ひどい言葉を投げかけられた。理不尽な暴力を受けた。時にはそれ以上のこともされた。誰からも相手にされなかった私はいつも一人ぼっちだった。そんな辛さを、身近な人にさえ打ち明けられなかった。ずっと一人で抱え込み続けていた。
でも本当はさみしかった。悲しかった。苦しかった。悔しかった。友達が欲しかった。私の話を聞いてくれる友達が。だから私は友達を私自身の頭の中に作った。彼女は私の話を聞いてくれる。いつでも私の傍にいてくれる。何より、彼女は私に優しくしてくれるたった一人の人だった。
周りの人たちは彼女と話す私を見て、ますます私を嫌うようになった。あいつは頭がおかしいとまで言う人もいた。けれど私はもう怖くなかった。彼女がそばにいてくれるから。彼女と一緒にいれば、さみしい気持ちは少しも感じなかった。どんなにつらいことがあっても、彼女の声を聞けば幸せを感じられるようになった。彼女がいる世界が、私にとっての楽園で、現実だった。みんなが現実と呼んでいる世界は、私にとって偽物の世界になった。
偽物の世界でどんなに汚い言葉を投げかけられても、本当の世界で彼女がやさしい言葉をかけてくれる。どんなに暴力を受けても、彼女が優しく抱きしめてくれる。どんなにつらくても、苦しくても、本当の世界では幸せで満たされる。だから私は、大丈夫なはずなのに。私は彼女の世界の中にいて、何もかも満たされていて、幸せなはずなのに、あるはずのない悲しい気持ちが起こってしまう。涙が止まらない。どうして?
ふと無意識のうちに、部屋にあった鏡……そこに映っていたものを見た。見てしまった。
映っていたのは、私……髪は伸びきって、その体には、過去に暴力を受けた時にできた青痣と、抑えきれなかった「死にたい」という衝動から自分でつけたためらい傷があちらこちらに見える、私の姿だった。気付いた時には、心も体も、救いようがないほど、ぼろぼろになっていた。こらえていた涙が、どっと溢れだしてくる。頭の中で考えている事と感じていることがぐしゃぐしゃに混ざり合って、言葉にならない声をあげることしかできなかった。
どうして、こんなことになるまで、私は……意味もなく、ただ辛さを抱え込み続けていたのだろう。嘘の世界だとか本当の世界だとか言って、現実から逃れようとしていたのだろう。そんなこと考えなくてもわかる、そうでもしないと、何度も何度も襲ってくる理不尽な状況に説明がつかなかったから……。だから、そんなわかりきった嘘で自分をごまかしていたんだ。けれど、それなら彼女の存在は、嘘……?私に優しくしてくれたたった一人の友達、彼女さえ、本当はこの世界に存在してはいないの?違う、惑わされてはいけない。彼女がいる世界が本当の世界……私の楽園なのだから。
窓の外に見える青い月が呼んでいる。私はそっと窓を開け、そして窓の外へと跳び出した。彼女のもとへ向かうために、私が本当にいるべき世界、永遠に幸せな楽園で過ごす資格を得るために。
ねえ……私、これで、よかったんだよね……?