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さなえちゃんがいない。さなえちゃんがいない。どこにも。どこにもいない。黒い羽があちこちに散らばってる。お部屋の角から紫色の血が流れてる。さなえちゃんが泣いてる。遠くから、痛いよ、苦しいよ、って声が聞こえる。どこにいるの?さなえちゃん……。
わたしの目……たくさんの目。まだ見つからないよ。まだ二つしかない……。ああ、こんな目じゃ、こんな目じゃまた気持ち悪いって思われちゃうよ。目が足りないと電波が、電波の毒が出てきちゃうよ。ただでさえ脳味噌と心臓から、あんなにたくさん出てるのに。わたしが電波で真っ黒になっていくよ。黒電波の真っ黒なすすが私をどんどん黒くして悲しませるよ。
早く、さなえちゃんに会わなきゃ……。さなえちゃんと一緒なら、黒電波は届かないの、届かないはずなの……。でも、動けないよ……頭にも。手にも、足にも根が張ってるから……電波を吸い上げて、黒電波を出して……根っこが電波を吸って大きくなるの。目がないとわたしは虹色の電波の木になっちゃう、黒電波の発信源になってみんなを狂わせて黴菌の呪いをうつしちゃう、だからここから動けないよ。
お部屋の床にあんなにあった目もなくなっちゃった。わたしから目を奪う。奪う。目はわたしに電波の言葉をくれたのに。虹色も聴こえなくなっちゃったよ。お部屋が黒電波を消してくれなくなって、どんどん黒電波が溜まっていくの。
頭の中で毎日毎日、かさかさ、かさかさ、何かが動いてるよ。だから頭を割って取り出さなきゃいけないのに。いつも使ってたカッターナイフもない。頭を割らなきゃいけないのにそのための道具がないの。私には力がないから手では取り出せないのに。黒電波が私のカッターナイフを消してしまったの?電波のすすがものを見えなくしてるの?
ああ、なんにもできない。私には、なんにもできない……。わたしは、なんのために、ここにいるんだろう。わたし……だれ、なんだろう……。